理系のキャリアを再考しつつ、色々と考える日記

少し変わったキャリアを歩んでしまった人が日々思うことをつらつらと書くblogです。

農学部の良いとこ、農学部の就職について思うところ。

英語の話題の前に、農学部の良いとこを書いておこう。とはいっても、悪いところを沢山書きかねないが。

農学部は大半、完全なる実学です。アカデミックな分野ではありません。最近はm農学部が伝統的にライフサイエンスを扱ってきたことにより、生命科学系の研究室によってはアカデミックな分野もある。しかし、研究室の先生の経歴はおそらくアカデミックな理学部出身者であるケースが多い。

農学部が伝統的に扱ってきたのは、微生物の応用、畜産などである。さらに言うと学生の数学や物理の基礎学力は低いケースが多い。

もっと言うと、大学の先生ですら数学や物理のレベルに関しては閉口するレベルであると感じる。しかし、それで良いのである。農学部は、理を追究する場ではなく応用と実践の場であるべきなのである。したがって、小難しい話はすっとばして応用分野を学ぶ場所なのである。

実際に、農学部で習う化学のレベルは応用分野に重点を置かれており、基礎部分はかなりすっとばされている。

したがって、(逆説的に聞こえるが)物理や数学が苦手でもやっていけるのである。例えば、食品化学は生化学がベースになっているが大学の分厚い生化学の教科書を丸一冊理解しておく必要はない。誤解を恐れずに言えば、高校の教科書ですら、化学Ⅱの一定の分野と生物Ⅱのある一部の分野だけ読んでおけばよいと思う。なので、理科が苦手(正しくはある分野が)な人には最適な学部と思う。そして、基礎をすっとばすが故のメリットとして、深く狭くは学べないが、広く浅く学ぶことができる。

(僕はこれはあまりの馬鹿らしいと思って、好きな教科以外はまったく勉強しなかったら単位を落とした。)

実学を学ぶ-つまり、実践的な知識を身に着けることができる為、かなり就職が良い。

しかし、これは同じ化学や生物を扱う理学部と比較しての話である。工学部と比較するとへなちょこになってしまう。理由は簡単で、農学部で扱う知識を求める会社が工学部と比較してあまりに少ないからである。したがって、化学-生物学というくくりで考えると就職はかなり良いのではあるが、化学-生物を扱う会社があまりに小さいか、ほとんどない為、知名度的に工学部と比較してかなり見劣りしてしてしまう。つまるところ、(その分野で...というくくりにすれば)実際は農学部はかなり就職が良いのではあるが、いかんせん目立たない。そして、収入も少ない。

農学部出身で、製薬会社に(MRではなく)就職するパタンがあり、すごいと言われるが、はっきり言って農学部的には負け組である。製薬会社に就職すべきは、基礎研究所であれば理学部や薬学部、また生産であれば工業化学や有機化学の専攻者である。

農芸化学専攻で製薬会社に就職は負け組である、なぜならば製薬会社が求める知識を学ぶ学部がちゃんと別にあるからである。

SEに置き換えて考えよう。文系や、農学部の人がSEになろうとすると、「 なんで?」と言われる。なぜならば、IT技術者を育成するための学科-情報学科はちゃんとあるからである。

農学部=>製薬会社もまったく同じである。なぜ、農学部なのにいばらの道、しかもまったく異分野に就職しないといけないのか。そもそもの土俵が違う分野である。

食品会社の技術職の就職には強い。まあ専門だからね。こちらがスマートな道である。食品会社の営業職につこうとする人もいるが、まあ専門ではないのであまり強みは発揮されない。そりゃ落ちますよ。

農学部出身が多い分野か、極端に少なくて希少価値が高く(意外なところで習った分野が活かせる)ところに行くのが良いと思う。

しかしながら、農学部の学生は茨のみちを進みたがるようだ。そりゃ就職の見栄えはめちゃくちゃ悪くなる。強みを発揮できないからである。

そして、、、農学部は実際なところ、勉強熱心な人が多いにも関わらず、食品会社や目立たない会社に行く人が多い為、収入は少ない。

(昔と違って今は、工学より農学部の方が勉強熱心な人が多い)

また、農学部は、習う分野がどうしても広すぎて、浅く広くになってしまう為、これを勉強しました!という分野がないのも少しかなしい。

工学部や物理学科が、基本的に物理をベースにしている為、(あらゆる分野汎用性が高い)物理学をしっかりとしたカリキュラムで学んでいき汎用性が高い知識を得ることができるが、農学部は農芸化学であっても汎用知識を得るのが難しい。農芸化学は生化学をベースとするが、、、、生化学自体が応用分野である ーつまり、応用の応用を習うところなのである。