理系のキャリアを再考しつつ、色々と考える日記

少し変わったキャリアを歩んでしまった人が日々思うことをつらつらと書くblogです。

科学者のイメージ②(物理学-分子生物学-金融の遷移)-アニメから考える

科学者のイメージが近年急速に変化しつつある。

大半の人がもつ科学者のイメージは、アインシュタインであろう。彼は理論物理学者だ。また、有名な科学者、ガリレオ、ニュートン、ファラデー、マクスウェル、ファインマン、シュレーディンガー、湯川秀樹、、とほとんどが物理学者だ。

というもの、ニュートンが力学を体系化させてから、そして19-20世紀は物理学の時代であった。物理学は、自然科学の王であり、化学ももちろんミクロレベルでは物理学の理論によって説明される得る。工学は、完全に物理学の支配下だ。工学の理論はすべて物理学によって、裏打ちされる必要がある。私たちの高度な文明の大半は物理学の進化に依存しているといって過言はない。

そして、科学者のイメージ=物理に強い、物理学者は確かに的を得ている。

ここで、マンガ-アニメに出てくる科学者のイメージをちょっと振り返ってみよう。

 

よく知られている(架空の)科学者。。

#1 お茶ノ水博士(鉄腕アトム):工学者、おそらくアトム(原子力で動く)を開発した彼はロボット工学とともに量子力学に精通している。

なんと、1950年代。この頃は原子力(=量子力学を理論的裏付けとする)がもっとも頭の良い人があるまる学問(=優秀な科学者が集う)だったのであろう。

 

#2 則巻千兵衛(あられちゃん):バックグランドは物理化学者。実際につくっているにはロボットであったり、ロケット。あられちゃんのエネルギー源は海水!!

あられちゃんは1980年代の作品だ。この頃は、やはり原子力もそうだが、ロケット工学も全盛期であった。やはり物理学をバックグランドに持つ、工学者が全盛の時代である。

 

#3 ブリーフ博士-ブルマのお父さん(ドラゴンボール):工学者。やはりロケットや宇宙船を作成する。ドラゴンボールは1980年代に生まれた作品で、やはり物理学が全盛期だ。もちろん、娘のブルマも工学に強い科学者である。

しかし、ドラゴンボールの世界はセル戦を境にかわっていく。

 

#4 Dr.ゲロ (ドラゴンボール):工学&分子生物学のバックグラウンドを持つ。いままでロボット-工学系の科学者が人造人間をつくっていたが、ついに分子生物学を応用した敵が出てきた。Dr.ゲロが開発したセルである。バイオテクノロジーとコンピュータを活用して開発された生物兵器セルである。セル戦は(確か)1993年頃、つまり90年代に入ってきてからは生物工学=先端科学という認識が徐々に生まれてきた。

この頃、世間的な認識としての物理学=>分子生物学の遷移が生まれてきたのである。

 

#5 赤木リツコ(エヴァンゲリオン):分子生物学者。エヴァンゲリオンは分子生物の応用で生まれた。ついに、アニメの世界に純粋な分子生物学者が登場した。Dr.ゲロはロボット工学から分子生物学に転身したが、赤木博士はバックグランド自体が分子生物学である!!

 

#6 灰原あい(コナン):小さくなる前の彼女は薬品の研究を行う科学者であった。彼女のバックグランドは(おそらく)生化学であろう。エヴァに引き続き、1990年代のアニメではロボット工学者より、生物系の科学者が台頭してきている。

 

これは実際の世界での同じで、物理学者=>生物学者という流れはおきている。Dr.ゲロのように物理学=>生物学に転向した科学者は多い。その一番最初はシュレーディンガーであろう。もちろん、DNAを発見したクリックは物理学者だ。

クリック-ワトソンがDNAを発見し、そこから分子生物学は花開くわけだが、(生物工学が)世間に浸透するにはおよそ50年の時間を要した。

もちろん、原子力=最先端のイメージも50年程の時間を要している。

研究の世界と、世間一般のイメージは大分タイムラグがある。

 

ここで1つまだアニメに出てきていない科学者像がある。ウォール街ロケットサイエンティストだ。クオンツと呼ばれ、金融理論をバリバリにつくり、トレーディングの効率を最大限化するのが彼らだ。クオンツも、分子生物学者と同じで物理学者からの転向が多い。分子生物学者が徐々に活躍し始めたのは50-70年あたりである。クオンツが台頭したのは80-90年。

彼らも優秀な科学者であり、いつの日にかアニメにも登場するかもしれない。

ひょっとすると、将来は(何かすごいものを作る科学者ではなくて)、金融取引を活用し、(タイムマシンの様な)便利なマシンを開発する会社に投資を行い、その会社のタイムをマシンを活用する主人公が生まれてくるかもしれない。。

90年代のドラゴンボールのアニメで、トランクスが「悟天、バイオテクノロジー知らないのか?」という場面がある。2020年には、「金融工学知らないのか?」というセリフが聞けるかもしれない。